2002年10月31日発行 第216号 特別 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■ 日本国の研究 ■■■ 不安との訣別/再生のカルテ ■■■ 編集長 猪瀬直樹 ********************************************************************** http://www.inose.gr.jp/mg/index.html ━━━━ニュース!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 道路関係四公団民営化推進委員会(第三者機関)の最新情報は こちらでごらんいただけます。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/road/index.html ━━━━◇「日本の近代 猪瀬直樹著作集」全国書店で絶賛発売中◇━━━━ 文学、歴史、ジャーナリズムを志す人びとへ…必携の著作集 全12巻/各巻予価1300円/小学館刊 増補、発表当時の書評、解説を加えて読みごたえアップ! サイズも価格もコンパクトでお求めやすい著作集です。 http://www.inose.gr.jp/list.html 最新刊■第十二巻『黒船の世紀』■ 10月30日(水)発売 「黒船」から始まる、現代の大叙事詩。 いつまで戦争を続けなければならないのか――。 いま、世紀を超えた「宿題」に応えるために。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▲▽猪瀬直樹の最新本▽▲ New! ■『日本システムの神話』■ 東條英機も見誤った“つくられた”数字 むかし「陸軍」いま「国交省」 この国を迷わせる原因は何なのか? 定価667円/角川書店oneテーマ21 ■『日本復活のシナリオ 論客20人の結論』■ 構造改革はまだ終わっていない! 日本の知性が総結集 定価1500円/PHP研究所 ▲▽いまお読みのメールマガジン「日本国の研究」が単行本で続々と登場▽▲ http://www.bk1.co.jp/s/02inose01/kenkyu/ 第三弾好評発売中!■『日本病のカルテ 一気にわかる! 住宅金融公庫廃止論』■ 民間の競争がサービスを向上させ公庫より[お得]な商品が生まれる! 定価1200円/PHP研究所刊 既刊シリーズ■『日本病のカルテ 一気にわかる! 特殊法人民営化』■ われわれの税金を蝕む「ムダの巣窟」を一掃せよ! 定価1200円/PHP研究所刊 ■『日本病のカルテ 一気にわかる! デフレ危機』■ 「底なし不況」を招いた本当のカラクリ 定価1200円/PHP研究所刊 ━━━━━━━━━━*本の検索・購入はこちらから*━━━━━━━━━━ オンライン書店 ビーケーワン http://www.bk1.co.jp/s/02inose01/kenkyu/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【石井紘基氏の死を悼む】 10月25日、暴漢に襲われ死去した衆議院議員石井紘基さん(民主党)の死を 悼んで、特別号を配信します。 本稿にあるように、石井議員は独自の調査で国や特殊法人の天下り先が3000 社もあることを突き止め(96年2月)、その年の4月には「国民会計検査院・ 国会議員の会」を発足させて、積極的に会計検査機能強化のための法案を提出 してきた。ようやくこの会の組織体制も整い、いよいよ成果が期待される矢先 であった。 『日本国の研究』を書いたころからの付き合いで、僕にとっては同志といえる ひとだった。 残念でならない。こころから冥福をお祈りいたします。 (猪瀬直樹) =================================== □ニュースの考古学□ =================================== 「『血税無駄遣い』を許す『会計検査院』馴れ合いの構図」 住専問題やHIV訴訟などで、日本の官僚機構はいよいよ末期的な症状を呈 しているけれど、びくともしない。 なぜだろうかと考えれば、結局、官僚に媚を売る政治家が多いこと、記者ク ラブ中心の日本型ジャーナリズムが官僚機構の秘密を徹底的に洗い出して来な かったこと、などが挙げられようか。 * 二月二十日の衆院予算委員会で石井紘基議員(新党さきがけ)が、会計検査 院について質問をしている。これがとてもおもしろい。記者クラブは構造的に 役所の情報に頼りすぎて国会を軽視する傾向がある。石井議員は国会議員に許 された国政調査権を行使して事前に調査したうえで、官僚機構の急所が会計検 査院にあると見抜き、こう質問していた。 「会計検査院が調べなければいけない団体は幾つあるのですか」 じつに単純な質問のように見える。ところがそうではないのだ。新聞は、な ぜもっと注目しないのだろうか。 会計検査院は、国民に成り代わって行政機構が税金を無駄遣いしていないか と監視する役割を負っている。「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有す る」(会計検査院法第一条)とあるように、行政から独立した立場で調査する タテマエになっている。会社でいえば監査役のようなものだ。 ふつう会計検査院が、税金の無駄遣いを指摘したりする対象は建設省や厚生 省などの役所と思われている。ほかにも国家が資本金の二分の一以上を出資し ている特殊法人も検査の対象である。日本道路公団や住宅・都市整備公団(以 下、住都公団)などの公団、住宅金融公庫などの公庫、年金福祉事業団などの 事業団、電源開発株式会社などの特殊会社、さらに日本輸出入銀行や海外経済 協力基金など、公共の利益や国家の政策上の特殊な事業を遂行するため特別法 によって設立された法人が、特殊法人と呼ばれる。 石井議員の質問に対して、日本道路公団や住都公団など特殊法人は九十三あ る、と会計検査院側は答弁した。ここまでは訊くまでもなく、すでに明らかで ある。 問題はこの先である。国家や特殊法人が出資している株式会社は幾つあるの か。それらについて検査しているのか、だ。 質問に対して、国が一部を出資している法人が三、国が資本金を出資した法 人がさらに出資している会社が十九、と答えている。これは平成六年度の検査 の実績であるという。じつは石井議員は、これらの法人がどのぐらいあるのか その実数を調べてあった。驚くべき数字が判明した。なんと合計三千団体もあ るのだ。 それに対し、会計検査院は、それぞれ三と十九という数字しか示さない。検 査したのはたったこれだけ! ほかはまったく検査していない。それどころか、 いったいどのくらいの団体があるのか知らない、とこう答える始末だった。 「必要に応じて検査を行うというものでございまして、それぞれの数につきま しては私どもでは現在、把握しておりません」 石井議員は、語気を荒らげた。 「会計検査院が、検査をしなければならない団体がどこだかわからないという のは何ですか!」 たしかにおかしい。それらを把握して初めて検査ができる。ところが検査す べき団体がどのぐらいあるのかさえ知らない、知ろうとしない、となれば呆れ るばかりだ。 石井議員の調査によると、たとえば住都公団が出資している株式会社だけで 三十社(出資比率50%以上6社、20%以上50%未満16社、20%未満8社)もある。 そのうちのひとつ、日本総合住生活株式会社(資本金3億6千万円)は、住 都公団が建設した団地などの清掃や造園などの仕事で、一千五百億円もの営業 実績(年間)を得ている。ここの十九人の役員のうち十二名が住都公団からの 天下りであり、日本総合住生活株式会社の社長は建設省から住都公団副総裁を 経て、二度、三度と退職金をもらういわゆる“渡り鳥”の仲間である。 住都公団の保全工事の入札では、日本総合住生活株式会社を含めた、これら 三十社が必ず過半数を落札してきた。各社とも住都公団からの天下り役員がズ ラリと並んでいるわけだから、インサイダー的に工事情報が入ってくるし、人 的な結合もあるので落札できないわけがない。公団が関連業務へ出資するのは 認められているが、談合で関連会社へ工事を分け与えるのは違法で、民間企業 はあらかじめ対等な競争を阻まれている。そういう構造のなかで彼らは天下り という甘い汁を吸っているのが実態である。 政府関係法人労働組合連合(政労連)が発表してきた「天下り白書」は、特 殊法人についてのみであり、特殊法人が出資している株式会社は無視している。 しかも政労連は、二年前から「天下り白書」を非公開にした。特殊法人不要論 を刺激すると不利になると考えてのことらしい。 特殊法人はそれぞれ各省庁の縄張りだから、互いにどんなことをやっている のか隠して見せない。特殊法人が出資している会社の正確な数字は秘匿されて いてなかなか表に出ないのである。 しかし、国民の税金が使われているのだから、会計検査院はこれらにメスを 入れなければいけないはずだ。ところが検査実績は、答弁にあったように氷山 の一角でしかない。 ○天下りの呪縛● 会計検査院が指摘する無駄遣いは、だいたい百億円から二百億円程度(年間) にすぎない。会計検査院の予算(約百四十億円)に相当する金額でしかない。 つまり自分の働く分を稼げ、それ以上は稼ぐな、という数字なのである。 なぜか。会計検査院もまた天下り先がほしいから、と思われる。 特殊法人の監事(ふつうの会社なら監査役)の職に、会計検査院出身者のポ ストが用意されている事実について石井議員が指摘すると、矢崎新二会計検査 院長はこう答えた。 「長年の豊富な経験を生かして経理処理を厳しく監査し得る適材適所の人材と して請われたものと考えております。(特殊法人は)OBが就職している機関 といいましても、検査に手心を加えることは決してございません」 自分の先輩がおり、将来、自分が天下るかもしれない、となれば手心を加え たくなると考えるほうがふつうではないか。 日本の官僚機構には、歯垢のようにこびりついたものがたくさんあり、その ひとつひとつを洗い出す作業が必要なのだ。情報公開法制定が急がれる理由で ある。 (週刊文春 1996年4月4日号) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ご意見・ご感想はメールでどうぞ 配信の取り消し手続きはこちらから 本の検索・購入はオンライン書店ビーケーワンで 猪瀬直樹の公式ホームページはこちらから ○発行 猪瀬直樹事務所 ○編集 猪瀬直樹 ○Copyright (C) 猪瀬直樹事務所 2001-2002 ○リンクは自由におはりください。ただしこのページは一定期間を過ぎると削 除されることをあらかじめご了解ください。記事、発言等の転載については 事務局までご連絡くださいますよう、お願いします。