2009年01月22日発行 第0531号 特別
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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 一昨日20日(火)、財政再建中の夕張へ10名の都職員が派遣されました。
24日(土)までの5日間、雪かきの手伝いや地元住民との意見交換を行ないま
す。都職員10名に加えて大阪府と広島市からも2名ずつ職員が加わっています。

 すでに東京都は猪瀬直樹の発案で、昨年1月から職員2人を夕張市へ長期派
遣しており、10月には6人の短期研修を実施しました。今回はそれらにつづく
3度目の派遣になります。

 今回の派遣に合わせて、猪瀬直樹も23日(金)に夕張を視察することになり
ました。さらに翌24日(土)は札幌に飛び、周産期医療プロジェクトチームの
リーダーとして、札幌市の医療体制を視察する予定です。

                 *                 

 今週のメールマガジンは「北海道開発局との往復書簡」です。分権委員会で
の猪瀬のもうひとつの静かな戦いの記録です。 

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「北海道開発局との往復書簡」


 猪瀬直樹は北海道開発局と半年以上も情報公開を求める戦いをつづけている。

 分権委員会が出先機関の見直しを勧告したのは、国民や住民がチェックでき
ないガバナンスが利かない組織になっているからである。第二次勧告では国土
交通省地方整備局や北海道開発局、農水省地方農政局などの出先機関から3万
5千人を削減する。残った組織を「地方振興局」「地方工務局」に再編成し、
その業務を地元の県知事らからなる協議会(仮称・地方振興委員会)がチェッ
クできる仕組みを提案した。もちろん、知事ひとりだって文句を言える。

 地方整備局は道路特定財源の無駄づかい、地方農政局は事故米の現場だが、
地方整備局と同じく国交省の下部組織の北海道開発局は度重なる官製談合で幹
部が相次いで逮捕されている。官製談合を繰り返すのはシステムに欠陥がある
からだ。北海道開発局特有の公益法人を媒介にした天下りの構造が問題なのだ。

 政府は年度末までに、第二次勧告の中身を具体的に実現する工程表の策定が
もとめられる。改革を進めるために、まず膿は出し切らなければいけない。昨
年6月26日の地方分権委員会で、猪瀬は北海道開発局に対して、つぎのように
質問をなげかけ、北海道開発局との往復書簡が始まった。

「北海道開発局(国交・農水)および出先機関が、財団法人など関連法人等に
対して行っている補助金・交付金などの金銭交付等に関して、支出元、交付先
団体名、支出の名目、交付額、交付の目的、発注形態、相手先団体の年間収入
額、役員数(うち中央省庁出身者数)を直近3年間について一覧にしてご提出
いただきたい」

「上記の相手先の財団法人など関連団体それぞれについて、役員名簿をご提出
いただきたい。中央省庁等(特殊法人・独立行政法人等も含む)出身者につい
ては最終官職をお示しいただきたい」

■北海道開発局と関連法人のナゾ

 北海道開発局は7月11日に分権委員会のヒアリングに対しても、回答を示し
てこなかった。第二次勧告に向けた中間報告をまとめた8月1日になってよう
やく、「北海道開発局が国土交通省所管公益法人及び独立行政法人に対して行
った金銭交付等に関する資料」と題したA4判11ページのリストを提出してき
たが、お金を出した先の法人は本拠地が北海道にあるような濃密なものはほと
んどなく、「財団法人建設技術研究所」や「財団法人経済調査会」など、国土
交通省が全国組織として所管する法人ばかり。北海道開発局のほんとうの地場
組織との関係が巧妙に隠されていた。

 北海道開発局という官僚機構は、極端に閉ざされている。北大閥が幅をきか
せ、人生の終わりまでレールが敷かれている世界だ。事業はすべて北海道で閉
じているから、業者とのつきあいも長く、みんな顔見知り。北海道開発局OB
がこれら業者に天下ることで、談合が繰り返されてきた。

 公共事業への依存が深いから、事業の地元負担率が他府県より低めに設定さ
れる「北海道特例」と呼ばれる優遇制度がある。たとえば河川改修や農業農村
整備の場合、他の都府県の約67パーセントに対して、北海道は80パーセントを
国庫負担してもらうことができる。国から手厚く配分された予算を、道内の業
者とパイを分け合う、密な空間がそこにはある。
 
 国土交通省は全国に8つの地方整備局を出先機関として置いているが、北海
道だけは北海道開発局として別扱いだ。地方整備局は全国8局で2万人の職員
だが、北海道開発局は1局だけで6000人近い職員を抱えている。
 
 公共事業の落札率に着目すると、北海道の特殊性がさらにはっきりする。20
06年度の全国平均が83.5パーセントであるのに対して、北海道はトップの94.4
パーセントである。競争入札がおこなわれていないということは、この数字を
見てもあきらかだ。

■問題の7法人を焦点に

 地元のジャーナリズムがこの問題にひとつのヒントをくれた。

「財界さっぽろ」(08年7月号)が「新聞が書かない"官製談合"の全構図」を
書いた。

「新聞等ではOBを雇い入れる建設業者と開発局が直接つながっているように
書かれていたが、実際の構図は少々異なる。企業が開発局に直接かけあいOB
を確保する、または退職予定の職員が企業に直接、自分を売り込んで雇いいれ
てもらうようなことは、まずない。(略)両者が直接交渉をしなくて済むよう、
"仲介役"が存在する」

 この記事は"仲介役"として、以下の7つの法人をあげている。
 ・財団法人北海道開発協会(事務方系OB)
 ・社団法人北海道開発技術センター(道路系OB)
 ・財団法人北海道道路管理技術センター(道路系OB)
 ・社団法人北海道土地改良技術設計協会(農業系OB)
 ・社団法人寒冷地港湾技術研究センター(港湾系OB)
 ・財団法人北海道河川防災研究センター(河川系OB)
 ・財団法人石狩川振興財団(河川系OB)
 
 これらすべての法人の代表が、北海道開発局の元開発局長や建設部長、元農
水部長である、と記されている。
 
 国交省の前述の回答にはカラクリがあった。これらの法人は社団法人寒冷地
港湾技術技術センターが国交省港湾局の所管となっているほかは、すべて北海
道庁所管の公益法人となっている。しかし、実際には開発局の天下りを受け入
れ、北海道開発局の仕事を受注していたのだ。

■北海道開発局でズブズブの契約で金をため込む公益法人

 8月19日、あらためて猪瀬から情報公開請求。7法人について、法人を所管
する北海道庁と国土交通省それぞれに対して、「役員名簿、役員数および職員
数、過去三年間の財務諸表一式、公益法人の出資者一覧、公益法人が出資する
法人の一覧」をもとめ、さらに開発局からの発注額(もしくは補助額)、随意
契約の割合、落札率、再委託をしている額などのデータを請求した。
 
 一カ月後の9月16日の分権委員会に提出された回答は、A4判263ページ
にも及んだ。ひとつひとつページをめくり、数字を拾い上げた結果、実態が見
えてくる。

 たとえば財団法人北海道開発協会は、収入14億円のうち7.5億円(55パー
セント)が北海道開発局からの委託費などだが、このうち97パーセントが随意
契約による。財団法人北海道河川防災研究センターは、33億円の収入のうち31
億円(94パーセント)が北海道開発局からの受注で、そのすべてが随意契約。
7法人中、5法人がこの随意契約率100パーセントである。
 
 しかも、これによって溜め込んだ内部留保の合計額は50億円に上り、それぞ
れの法人で30パーセント程度が適当と定められた水準を大幅に超えて50〜70パ
ーセントもの"貯金"を溜め込んでいたのである。
 
 さらに問題なのが、再委託、つまり丸投げについての回答だ。今回の回答で
は、7法人からの再委託は「再委託については、受注者は発注者(北海道開発
局)の承認を受けることとされており、承認を受けた再委託の金額を計上」と
前置きして、金額としては北海道開発協会の「50万円」だけが記されている。
ほんとうにそうなのだろうか。
 
 7法人は大きな投資事業を抱えた法人ではない。にもかかわらず、人件費以
外の「事業費」に多額の支出をしている。北海道開発局からの受注で生きてい
る法人なのだから、丸投げもしていないなら、いったい何に支出したのか、発
注元が「丸投げしてませんか」と訊かないのはヘンだ。
 
 最後に、役員名簿は提出してきたが、北海道開発局での最終官職は、1法人
(寒冷地港湾技術研究センター)を除き、明らかにしないのである。

 これらの問題点を指摘し、二週間後の9月30日に、天下りをあきらかにせよ
と再質問をなげかけた。以下、北海道開発局との根競べになる。経緯をしるす。

○10/21 分権委員会で北海道開発局の回答
1)依存度や随意契約率が高いことについて回答なし。
2)役員の最終官職も明らかにせず。
3)再委託についても「承認申請のあった再委託以外は把握していない」と回
  答。

○11/11 北海道開発局への資料要求(猪瀬委員からの再々要求)
1)天下り名簿
2)再委託のルールの確認

○11/25 分権委員会で天下りは確認できないとの回答を出しそうな情報が入
ったため、再要求。

■1月14日の北海道開発局からの回答

 出先機関見直しの第二次勧告を終えて新年を迎え、回答に一定の進展があっ
た。

 1月14日の分権委員会に示された回答のポイントを紹介する。全文は以下の
分権委員会のHPをご参照いただきたい。
(http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/kaisai/dai71/71shiryou7.pdf)
 
(1)	天下り名簿については国土交通省が法人に問い合わせるというかたち
をとった。
 北海道土地改良設計技術協会、北海道河川防災研究センターの2法人につい
ては、「個人情報でもあり回答しない旨の連絡があった」と拒んだが、残りに
ついては国交省の問い合わせに応じて回答があった。また拒否の2法人につい
ても国交省が持つ再就職リストから国交省自身がチェックして回答をよこした。
 
 この結果、たとえば北海道開発協会では、理事長は元北海道開発局開発監理
部長、2人の常務理事は元北海道開発局開発監理部職員課長と元同人事課長。
北海道開発技術センターでは理事長は元北海道開発局長、常務理事は本旭川開
発建設部次長など、7法人すべてで、理事長、常務理事、専務理事、監事など
主要ポストを北海道開発局からの天下りが独占している実態が明らかになった。
 
(2)	国交省は再委託(丸投げ)のチェックを全くしていなかったとも読め
る回答であった。
 国交省回答は「北海道開発局から各法人への業務受注における一括再委託の
禁止等については、契約書に規定が設けられている」としているが、多量の外
注費については「業務処理に必要な職員を民間企業から出向または派遣の形態
で確保するのに必要な経費」であるとして「承認が必要な再委託はない、との
回答であった」と法人の回答を引用するだけで済ませている。

 しかし、国交省自身が「4法人に対する監督権限がないことから財務諸表の
提出を受ける立場になく、その内訳の詳細については承知していなかった」と、
言い分けをしている。

■立証された「ガバナンス欠陥の組織」

 今回の回答で、北海道開発局が、談合を生み出した天下り公益法人へのガバ
ナンスを全く発揮できない出先機関でありつづけていることがあらためて明ら
かになった。
 
 天下り役員が経営を支配し、開発局からの独占受注をつづけ、仕事は丸投げ。
内部留保をため込んで住民の利益を吸い上げているのに、北海道庁も、道議会
も、北海道開発局も、この組織をガバナンスできていない。

 ガバナンスの効く組織に早期に移行する必要がある。出先見直しの工程表の
スケジュールを早期に明らかにするとともに、公益法人のチェックの仕組みも
あわせて確立されるべきである。

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■掲載情報

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 されました。「具体論にそって地方分権を闘ってほしい 本音は積極的では
 ない知事に全国知事会議でクギをさす」はこちら。
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090120/126001/

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 合軍が霞が関に『乱』を仕掛ける」が掲載されました。

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