第723号【特別】(11月8日)ニコニコ動画 猪瀬直樹TVより「第8回 震災地でみえてきたもの」

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2012年11月08日発行 第0723号 特別
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■■■    日本国の研究           
■■■    不安との訣別/再生のカルテ
■■■                       編集長 猪瀬直樹
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http://www.inose.gr.jp/mailmag/

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本日11月8日木曜日、インタビュー動画「『書評の甲子園』ビブリオバトル」
をアップしました!
http://ch.nicovideo.jp/channel/inosenaoki (猪瀬直樹TV)

メールマガジンでは、猪瀬直樹TVで配信したインタビュー動画をテキスト
化してお届けします。

本日のテーマは、「震災地でみえてきたもの」です。震災から一年半後の気
仙沼市、南三陸町で猪瀬の目に飛び込んできたのはどんな景色だったのか。

猪瀬が出動を命じた東京消防庁のヘリが446人の命を救った屋上、割烹
「世界」、女子職員が避難を呼びかけつづけた庁舎……。

写真入りで解説している映像もぜひ一緒にお楽しみください。

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ニコニコ動画 猪瀬直樹チャンネル
一問一答「第8回 震災地でみえてきたもの」

――気仙沼の中央公民館に避難した446人が、猪瀬副知事に送ったツイッタ
ーがきっかけで東京消防庁のヘリが向かい、全員無事に救出された話はこ
のシリーズでもご紹介しました。その後日談をお話しいただけますか。

■猪瀬□ 『決断する力』などでも書きましたから、少しは知られている話で
す。大震災の津波で流された障害者支援施設・マザーズホームと一
景島保育所が、国連のユニセフの協力で建てかえられまして、1年半経ってよ
うやく丘の上にでき上がりました。その落成式が9月11日におこなわれたので、
行ってきました。その時に様々な見聞があり、目からうろこが落ちるようなこ
ともありました。

流される前は、障害者施設と保育園は中央公民館の近くに並んでありました。
一景島というところで、「一景島保育所」といいましたが、今度は丘のうえの
牧沢というところに移ったので、牧沢という地名に「きぼう」とつけて「牧沢
きぼう保育所」となりました。

中央公民館、一景島保育所、隣にマザーズホームがありました。地図上で残
っているだけです。跡地は7月に取り壊されて今は更地になっています。津波
にさらわれて何もなくなってしまいました。

漁港としての気仙沼は、サンマやカツオが陸揚げされるところです。天井の
電器のところまで津波がきました。まだ壊れたところがあるので、一部だけで
再開しているという状況です。

気仙沼というと、大きな船が丘に乗り上げたのが報道されましたが、これは
いわきのマグロの巻きあげ漁船で330トンの大型船です。たまたま気仙沼に
寄港していた時に震災にあってこうなった。気仙沼の船はブルーと白で、マグ
ロのはえ縄漁なんです。このブルーと赤の、地元のものじゃない船を記念に残
すか解体するかどうかで、意見がまとまらないところ。こういうことは来て聞
いてみないとわかりません。

割烹「世界」という料亭がありました。流されて今は仮設店舗で営業してい
るんですが昼食をここで食べました。気仙沼はマグロ漁でひと儲けしたり、貨
物船の乗組員が寄ったり、鹿児島や土佐からカツオを獲りながら気仙沼までき
た漁師とかがいっぱいいて、世界からお客がたくさん来ていたんです。僕たち
は気仙沼に行くというと、仙台、一関まで新幹線できて、ローカル線や細い道
を一時間以上かけてくると陸路で考えますが、海の交通は世界に開かれている
んですね。だから、一日でもはやく復興しなければならないとおもいます。

東京都はそのために、定年退職した土木技師やゼネコンで働いていた人や公
務員を嘱託で15人くらい臨時採用して、派遣しました。応援しています。

気仙沼から南に1時間行くと、南三陸町です。防災庁舎の両側に役場があり
ました。ここの2階で女子職員が「はやく逃げてください」とアナウンスして
いたんです。3階建てで、阪神大震災のあと、絶対壊れないものをということ
で建てたものです。

1フロアーが4メートなので、3階分で12メートル。屋上に17メートルの電
波塔があり、津波は15.6メートルだったので、電波塔の半分くらいまで津波が
きました。ここに42人避難しましたが、11人が亡くなりました。

3階には非常用発電機が備え付けられていました。非常時のことをきちんと
考えていたんですね。

許可を得て非常用階段を上って屋上へ行ってみました。この手すりは陸側に
あって、階段につかまった人と電波塔につかまった人は助かりました。

屋上には20センチくらいの縁があってその上に柵がありました。それが、津
波で流されたんです。建物は耐震でしたが柵は耐震ではありませんでした。柵
につかまった人は柵とともに流されてしまいました。

気仙沼から北に30分行くと陸前高田です。この辺りは7万本の松林がありま
した。でも残ったのはユースホステルとたったあの1本の松だけ。その1本は
切り倒し、蝋人形のようなかたちで加工され、たて直します。1億数千万円か
かりますが、僕は必要だと思います。なにもないところに希望はありません。

ここはリゾート地だったんですね。松林があり、ユースホステルがあり、千
昌夫がかつて所有していたホテルもありました。その面影を残すことは大切だ
と思います。

落成式に出席するために気仙沼に行ったので、ほかのところものぞいてみま
した。割烹「世界」が仮設で営業しているところに、ほかのお店も並んで営業
しています。こうやって少しずつがんばっている。少しずつ前に向かっていま
す。そういうことがよくわかりました。


(了)



「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp


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■掲載情報

・日経BPネットの好評連載「猪瀬直樹の『眼からウロコ』」最新号。
「都政に空白をつくらないよう職務代理で奔走 伊豆諸島神津島の総合防災
訓練から『マラソン6大大会』発表など」はこちら。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20121105/329392/

・11月12日発行『歴史人』12月号に、インタビュー「東京都はなぜ尖閣諸島獲
得へとうごいたのか」(仮)が掲載されます。

・11月5日発行『潮』12月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
第7回にピースオブケイク代表取締役CEO・編集者の加藤貞顕氏との対談
が掲載されました。加藤さんは130万部を超えるベストセラー『もし高校
野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」(岩
崎夏海著 ダイヤモンド社)を手掛けた編集者です。

・10月26日発行『一個人』12月号に、連載エッセイ「解決する力」の第15回が
掲載されました。テーマは「“港”がもたらすものについて 気仙沼で育っ
た少年がロンドンで宝石デザイナーになった」。

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天皇という日本独自のシステムを〈元号〉を突破口に徹底考証。
処女作が待望の復刊です。   

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「天皇は実在するが、また同時に人びとの意識の底にとり憑いた幻想のひとつ
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巻末には作家・批評家の東浩紀氏との特別対談「今、ここにある皇室の危機」
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□■『言葉の力――「作家の視点」で国をつくる 』■□
(中公新書 税込777円)

「東京都副知事で作家の言葉論。ツイッターで文章力を鍛えるには口語体では
なく文章語で書くことだと説く。読書は『10ページ読書』を勧める。それだけ
で頭の中に検索のキーワードができ上がると言う。また、小泉純一郎は<俳句
のように凝縮した1行の力強さがある>が、菅直人は<ページに言葉が埋まっ
ているだけ>といった分析等も興味深い」(読売新聞 8月14日付)

作家として、東京都副知事として進める「言語力再生」。
サッカー界にも導入された「言語技術」やツイッターやフェイスブックなど
のソーシャル・ネットワークのほか、三島や太宰の文体にいたるまで、グロー
バル時代に不可欠なコミュニケーション力の目的・手段を独自の視点で解説。

第一部 「言語技術とは何か」
第二部 「霞が関文学、永田町文学を解体せよ」
第三部 「未来型読書論」

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□■『突破する力』■□
(青春出版社 税込800円)

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道路公団民営化をはじめ、作家として、東京都の副知事として、
さまざまな世間の“壁”を突き破ってきた著者が、
自らの体験を踏まえて綴る、人生を面白くする
本気の仕事&生き方論。

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