[MM日本国の研究734]「猪瀬都知事、就任後初の施政方針演説 都議会本会議」

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                  2013年02月21日発行 第0734号 特別
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
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 昨日2月20日水曜日午後1時から東京都議会第一回定例会が開会し、猪瀬直
樹が都知事就任後はじめての施政方針表明の演説をしました。

 なぜ猪瀬が東京都知事をやるのか。1時間20分間に及ぶ演説は作家としての
テーマ「日本の近代」と関わります。「戦前は天皇主権、戦後は国民主権」で
はなく「戦前も戦後も官僚主権」との歴史意識を明らかにしてきた作家らしく、
「歴史の軸を心に構えて、官僚主権に埋もれた力を見つけ出しそれを伸ばすこ
とこそが日本を沈没から救うという思想で、首都の舵取りを担う」と述べた上
で、「今年をあらたな時代の始まりの年にする」と表明しました。

 本日のメルマガはこの施政方針演説の冒頭部分をお送りします。演説は都議
会ホームページで録画映像をご覧いただけます。

 http://www.gikai.metro.tokyo.jp/live/ 

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「猪瀬都知事、就任後初の施政方針演説 都議会本会議」

【はじめに】

 東京都知事に就任してから、2か月余りが過ぎました。この間、東京と日本
が直面している様々な問題について、予算の査定や各局からの報告の場で職員
とも中身の濃い議論を重ねてまいりました。「日本の沈没を防ぐのは東京にし
かできない」ということを改めて強く確信し、いま、その重責に身が引き締ま
る思いであります。

 選挙を通じ、さらには就任後も様々な機会を通じて強く感じてきたのは、都
民の皆様の思い、単に「現状を変えて欲しい」というだけでなく「改革のスピ
ードを加速させて欲しい」という願いであります。私は、その期待に応えるべ
く、「事実に基づいて決断し、何としてもやり遂げる」という「意志の情熱」
で改革を断行し、東京からこの国の将来を切り拓いていく覚悟であります。

 申し上げるまでもなく、都政は、執行機関である知事と議決機関である議会
の二元代表制であります。私は、都議会の皆様の意見に真摯に耳を傾け、建設
的な議論を交わしてまいります。そのことが、東京をさらに高いレベルへと引
き上げることになると確信しております。

 本定例会は、私にとっては、知事として臨む初めての都議会であります。個
別の政策展開を述べる前に、まずは、私の都政運営に対する基本方針について
申し述べたいと思います。


【日本の近代】

 いまの日本が置かれている状況、その中で東京が何を為すべきかを正しく認
識するためには、まず、日本の近代からの歴史、その中で東京がいかに発展し
てきたのかということを理解する必要があります。

 150年前、明治維新を経て、我が国は近代国家への道を歩み始めました。
ヨーロッパ植民地主義の弱肉強食の論理がアジアを席巻する中で、伊藤博文が
憲法制定のためにヨーロッパに渡りました。そこで、ウィーン大学のシュタイ
ン博士から助言を得て、当時の我が国の成熟度を勘案し、議会の権限を絞り、
中央官僚による国家統制を軸にした大日本帝国憲法をつくりあげました。そし
て、議会制民主主義を段々と根付かせながら富国強兵を進め、日清戦争、日露
戦争に勝利し、不平等条約を改正して、欧米列強と対等な近代国家をつくりあ
げたのです。

 近代国家へのキャッチアップという目標を一応達成した日本は、目標を見失
いながらも、国民国家としての道を歩み始めました。大正デモクラシーの時代
です。東京には地方から人が集まり、田んぼの中を通っていた山手線に私鉄が
接続することで、ターミナルステーションができ、デパートができました。そ
して、沿線にたくさんの住宅が生まれ、人口を吸収して、私鉄が不動産業のビ
ジネスモデルをつくりあげたのです。沿線の農地が住宅に変わったとき、サラ
リーマンという職業と、通勤というライフスタイルが生まれ、「大衆」という
ものが生まれました。東京は郊外へと膨張・発展を遂げて、人々は大正のモダ
ニズムを謳歌したのです。

 しかし、我が国は国民国家に生まれ変わることはできませんでした。政党が
官僚機構を制御するという、近代の政党政治を確立しようとした総理大臣・原
敬が暗殺されたのです。さらに我が国は、ヨーロッパ諸国とは違って、第一次
世界大戦という人類最初の総力戦、殲滅戦を実質的に経験することもありませ
んでした。

 この2つの「近代日本の挫折」が重なり合う中で、原敬の暗殺以降は短命内
閣が続き、決められない無責任体制の政治は、軍部と官僚をコントロールでき
ないまま、300万人もの国民が犠牲になった第二次世界大戦へと突入してい
きました。官僚主権を抜け出せないまま、日本は近代の終焉を迎えたのです。

 戦後は、ソニーやホンダという企業も生まれ、新しい創業者の時代となりま
した。高度経済成長、1964年の東京オリンピックを経験し、再びの「坂の上の
雲」を目指してバブルまで走ってきました。しかし、バブル崩壊後の「失われ
た20年」の間、小泉政権の5年5か月を除いて、首相は平均1年で交代し、我
が国は迷路に入りこんでいきました。

「戦後日本の挫折」です。政治の混迷は、戦前の原内閣以降と酷似した現象で
あり、こうした状況では、政治が官僚をコントロールできようはずもありませ
ん。戦前は天皇主権、戦後は国民主権というのが教科書の歴史ですが、その実
は、戦前も戦後も一貫して官僚主権であります。さらに東日本大震災という大
災害にも見舞われたこの国は、大海原の中で羅針盤を失ったまま漂っているの
です。

【私が知事として目指すもの】

 私は、こうした歴史の軸を心に構えて、「官僚主権に埋もれた力を見つけ出
し、それを伸ばすことこそが日本を沈没から救う」という「思想」で首都の舵
取りを担う決意をいたしました。

 東京は、日本の心臓であります。日本を支え、変えていくためには、東京自
体が力強く鼓動して、新鮮な血液を全国へと送り出さなければなりません。私
は、人間社会の現実に向き合い、エビデンスを提示しながら、作品を結論に導
く「責任をとる文学」ということを信念に作家活動を続けてきました。その責
任感で道路公団改革に取り組み、政府の地方分権改革推進委員、そして東京都
の副知事としての仕事もしてまいりました。

 作家として培った力、発想力も駆使して、東京の生きた現場から霞が関の壁
を打ち破り、「東京モデル」とも呼ぶべき新しい政策を展開することで、日
本全体に「改革のうねり」を巻き起こしてまいります。

 改革の先にある社会の姿は「一人ひとりが輝く社会」であります。時代遅れ
の規制や既得権益に封じられていたものを解き放つことで、新しい価値と富が
創造され、それが社会の連帯を支え、さらに強固なものにしていく。そういう
社会を築き上げていきます。

 人々や企業が自分の個性と才覚を最大限発揮できる環境を整え、強い人が弱
い人を助け、余裕のある人が余裕のない人を助け、若者と高齢者が知恵と情報
を伝え合う、そうした「絆」を張り巡らせることで、東京を世界一の都市へと
押し上げてまいります。

                *


 「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp


猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■出演情報

・2月24日(日)8:45頃、フジテレビ「新報道2001」に生出演します。

■掲載情報

・2月24日発行『FC東京オフィシャルファンブック2013』に、インタビュー掲
 載予定です。

・2月18日発行『新潮45』3月号に、インタビュー「企画と指示があって初め
 て役所は動く」が掲載されました。

・2月18日発行、教育情報誌『Dream Navi』4月号(四谷大塚出版)にインタ
 ビュー「10年後の未来を考える」が掲載されました。

・2月5日発行『潮』3月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
 第9回に白木夏子氏との対談が掲載されました。


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      「東京電力とのバトル」、「オリンピック招致」、
        「災後社会のネットワークづくり」など、
   東京都のマネジメントに絡む出来事をネタに、問題解決力を磨く考え方、
    行動の仕方、強いメンタルの保ち方などをわかりやすく説く! 

        「その日までが勝負」と「その日のみの勝負」
        改革とは具体的な数字を示すこと
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        ツイッターがつないだ奇跡の絆
        日本人に足りない言語技術力

 など、世の中の最前線で闘ってきた著者ならではのメッセージが満載。
 ヒット作『決断する力』に続く、臨場感あふれるビジネススキル読本 
           
    
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    そのためとんでもない不便を強いられているのは
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      改革のためには通勤苦の現状をよしとする
        既得権益者との戦いが必要であり、
    利用者自身もいまどんな不合理にさらされているか、
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    大震災後、東京都を陣頭指揮する副知事の思考と行動20カ条

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                猪瀬直樹氏は、
      子爵夫人の日記に残された謎を解き明かしながら、
           アメリカが日本に仕掛けた
     対日占領政策の大きな構図を浮かび上がらせていく。
    それによって、現代の日本と占領期の日本との間に漂う
        霧のような薄闇を払っていくのである。

                      梯久美子(「解説」より)

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          □■『昭和16年夏の敗戦』 □■
          (中公文庫 税込680円)
                         
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 1983年に世界文化社から刊行され、文春文庫になり、『猪瀬直樹著作集』に
入り、ロングセラーとして版を重ね昨年6月に中公文庫に収録された作品です。

 巻末には勝間和代さんとの特別対談「日米開戦に見る日本人の『決める力』」
が収録されました。

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               □■『天皇の影法師』■□

          (中公文庫 税込700円)
 
      天皇崩御そして代替わり。その時何が起こるのか。
  天皇という日本独自のシステムを〈元号〉を突破口に徹底考証。
         処女作が待望の復刊です。   
 
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「天皇は実在するが、また同時に人びとの意識の底にとり憑いた幻想のひとつ
でもある。曲がりくねった鏡張りの回廊を歩くときに歪んだ自分の姿が無数に
映るばかりで天皇の影は見当たらない」(「あとがき」より)

 巻末には作家・批評家の東浩紀氏との特別対談「今、ここにある皇室の危機」
が収録されました。

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      □■『言葉の力――「作家の視点」で国をつくる 』■□
            (中公新書 税込777円)

「東京都副知事で作家の言葉論。ツイッターで文章力を鍛えるには口語体では
なく文章語で書くことだと説く。読書は『10ページ読書』を勧める。それだけ
で頭の中に検索のキーワードができ上がると言う。また、小泉純一郎は<俳句
のように凝縮した1行の力強さがある>が、菅直人は<ページに言葉が埋まっ
ているだけ>といった分析等も興味深い」(読売新聞 8月14日付)

                *

     作家として、東京都副知事として進める「言語力再生」。
 サッカー界にも導入された「言語技術」やツイッターやフェイスブックなど
のソーシャル・ネットワークのほか、三島や太宰の文体にいたるまで、グロー
バル時代に不可欠なコミュニケーション力の目的・手段を独自の視点で解説。
 
  第一部 「言語技術とは何か」
  第二部 「霞が関文学、永田町文学を解体せよ」
  第三部 「未来型読書論」

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          (青春出版社 税込800円)

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  道路公団民営化をはじめ、作家として、東京都の副知事として、
      さまざまな世間の“壁”を突き破ってきた著者が、
     自らの体験を踏まえて綴る、人生を面白くする
          本気の仕事&生き方論。 
  
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